• 描きたかったのは少女との交流と新しい体験。VR脱出ゲーム「Last Labyri...

本日2019年11月13日にリリースされるVR専用アドベンチャーゲーム「Last Labyrinth」。仮想キャラクターであるカティアとコミュニケーションを取りながらギミックを解いていく新感覚の脱出ゲームになっている。ここでは本作のディレクター/プロデューサーを務める高橋宏典氏のインタビューをお届けしよう。

本作のプロデューサー兼ディレクターを務めるあまた株式会社代表の高橋宏典氏。

――本作は2016年の東京ゲームショウで初披露した作品となるので、3年という開発期間を経て発売されるわけですが、構想自体も長かったのでしょうか?

高橋宏典氏:構想は2016年に生まれたので、そこはあまり時間がかかっていません。2016年に出展したものはVRのデモとして作ったものだったので、商品化することはあまり考えずにお客さんの反応を見てみようというものでした。そのときにゲームデザインの基本は出来上がっていたのですが、商品化にあたって乗り越えるべき壁があり、その準備に1年ぐらいかかったという感じです。

――女の子といっしょに謎解きをするという根幹部分はすでに出来上がっていたんですね。

高橋:そうですね。その段階でカティアもいたし、謎解きの要素もありました。ただ、そのときはボタンをフットペダルで押すという仕様でした。

ヒロインのカティア。

――2018年に自転車創業さんがVR謎解きアドベンチャー「星の欠片の物語。」を発売されましたが、もともと構想があったヒロインとともに謎を解いていくというVR作品を先に発売されて悔しい思いなどはありましたか?

高橋:いえ、企画自体は珍しいものではなく、同じことを考える人はたくさんいると思います。実現することが重要ですし、表現方法によって作品の内容は大きく変わるため、先を越されたことによる嫉妬のようなものはありませんでした。

――あまたさん自身、これまで「Fate/Grand Order VR Feat. マシュ・キリエライト」などのVRコンテンツを手がけられていますが、御社自体がVRに力を入れているのでしょうか?

高橋:デベロッパー会社なのでスマートフォンゲームの開発を受注して運営を手がけることが多いです。ただ、うちの会社は3分の1以上の人間がキャリア20年以上のベテランで、ハイエンド寄りのゲームを作ってきた人間も多いので、そういう人間のスキルが生かせる場所も必要だと思っています。VRでの展開もそのひとつですね。

――「ラストラビリンス」は、2016年の発表から2019年の発売まで3年の制作期間がありましたが、デモ版をプレイしたユーザーの反応などをみて変えた部分はありますか?

高橋:知り合いのゲームクリエイターたちを呼んでプレイしてもらったり、一般ユーザーさんを募集してプレイしてもらったりして、そのときのフィードバックを反映させることはありました。ただ、こまかい部分なのでゲームは変わっていないですね。

――実際にプレイさせていただいて、謎解きに失敗したときにカティアとプレイヤー自身が悲惨な死に方をするところが、VRということもあってかなり精神的に重くのしかかってきました。プレイしたユーザーさんの反応はいかがでしたか?

高橋:怖すぎてヘッドセットのなかで目をつぶっていたという人もいれば、ホラー好きなのでニヤニヤしながら見ていたという人もいましたね。感じ方は人それぞれでかなり違いました。

――高橋さんご自身は、本作でホラーを描きたかったのでしょうか? それとも少女とのエモーショナルな体験を描きたかったのでしょうか?

高橋:後者ですね。本作でホラーを作ったつもりはまったくありません。わたしはこれまでのキャリアのなかでソニー・コンピュータエンタテインメントに長く在籍していて、ポケットステーションの立ち上げにも参加していたのですが、あのデバイスは仮想キャラクターとコミュニケーションするということがテーマになっていました。そして本作の製作のとっかかりもVRというデバイスを使ってキャラクターと交流していくというものでした。

また、本作のリードアニメーターは「ICO」や「ワンダの巨像」でパートナーキャラクターのアニメーションを担当した福山(福山敦子氏)が担当しているのですが、彼女の良さを引き出すのであればトロのようなマスコットのキャラクターではなくリアルな等身の女の子がいいなと思いました。

――カティアは守ってあげたくなるような存在ですね。

高橋:ムキムキなマッチョ男だったら自分が導く必要をあまり感じませんからね(笑)。か弱く庇護すべき女の子になるように工夫しました。あと、自分が車椅子に座っているという設定なので、大人だと見下ろされている感じになってしまうんですよ。同じ目線でアイコンタクトできるような年齢にしたいという理由もありました。

――彼女が手に赤いリボンを付けているのはVRの画面が映えるようにでしょうか?

高橋:そうですね。設定的な意味もありますが、本作ではカティアが遠くのほうまで行くこともあるので、手足の位置をわかりやすくしている役割もあります。

――主人公が動けないという設定はどこから着想を得たのでしょうか?

高橋:2016年ぐらいにさまざまなVRゲームのミートアップがあり、自分も多数参加していたのですが、どれもあまり没入できなかったんです。それは、当時はVRの黎明期でゲームの操作方法に決まった作法もなかったため、毎回ゲームの途中で確認する必要があってそのたびに現実に引き戻されてしまうからでした。そのときに自由に作りすぎても没入感が無くなることに気がついたんです。

――なるほど。

高橋:あと、モノを掴んだりする操作をするときも視界とのズレがあって違和感が生じることが多いんです。そのため、主人公は動けないという設定にして女の子に指示を出すという役回りにしました。その結果、視覚情報だけに意識が集中できるようになり、VR好きのユーザーさんたちからも「これまでプレイしたどのVRよりも没入感があった」という評価をいただくことができました。

――謎解き部分に関してもお聞かせください。謎解きには制限時間などは存在しないのでしょうか?

高橋:そうですね。基本的にはいくらでも長考できるようになっています。ただ、制限時間内に謎を解かなければいけない部屋も用意してあります。

――ゲームのボリュームはどのぐらいでしょうか?

高橋:ノーヒントでテストプレイをしてもらったときは、だいたい15時間から20時間ぐらいかかっていましたね。おもしろいのは、ある人が難しかったといった部屋は別の人は簡単だったと言ったりして、感想がそれぞれ異なるところです。すごく悩むこともあれば一瞬で解けることもあり、謎解きならではの「アハ体験」が楽しめる作品になっていると思います。

――本作の謎解きはヒラメキが重要になってくるのでしょうか?

高橋:ヒラメキよりはロジックですね。論理的思考と若干の短期記憶能力があれば解けるようになっています。こういう謎解きの場合、基本があって、その次に応用となる問題が用意されていることが多いですが、本作ではそれぞれがまったく別の謎解きになっているのが特徴です。いろいろなバリエーションのパズルがあるので、謎解きが好きな人にもぜひ遊んでみてもらいたいですね。

――謎の解き方が部屋によって完全に分断されているのはめずらしいですね。

高橋:やはりVRなので、経験の蓄積よりも新しい体験のほうが重要かなと思いました。つねにユーザーさんに驚きの体験を与えたいと思い、このような形になりました。個人的には本当に拘束された気持ちでやってもらいたいですね。動けないと思うと謎解きに集中するようになり、普段使っていない部分の脳みそがフル回転して解答を閃くことがあるんですよ。ぜひ手錠をつけてゲームのキャラクターになりきってプレイしてみてもらいたいですね(笑)。

――ゲームをプレイしているとVR酔いをまったく感じませんでした。その点も制作で意識されたのでしょうか?

高橋:そうですね。車椅子の設定も最初は電動車椅子でジョイスティックを使って移動できるアイディアも考えていましたが、酔うことがわかったのですぐにボツにしました。ほかの部分に関してもなるべくVR酔いをしないように気をつけながら制作しました。

――ヒロインのカティアはどこの言語でもない独自の言葉をしゃべりますが、声優さんの収録は大変だったのではないでしょうか。

高橋:カティアは「メタルギアソリッドV ファントムペイン」でクワイエット役を演じたステファニー・ヨーステンさんが演じてくれています。カティアのセリフは日本語で用意したシナリオを特定の言語ルールに基づいて発音を設定しています。スタッフのアメリカ人に仮音を入れてもらったときは「こんなの読めないよ。きっとステファニーさんはすごく苦労すると思う」と言われたので、長めに収録時間をおさえていたんですが、ステファニーさんはまったく噛むことがありませんでした。感情を乗せた演技も素晴らしかったため、ほぼリテイクすることはありませんでした。

――カティアの動きを作るにあたって意識された点は?

高橋:自分が福山にオーダーしたのは、大人と少女の中間ぐらいのキャラクターにしてほしいというものでした。彼女がその設定を膨らませ、立っているときは大人っぽいけど、動いたりすると少女っぽくなるという造形にしてくれました。そのおかげで掴みどころのない不思議な魅力を持つキャラクターになりましたね。また、キャラクターのモデルや動きはリアルではなくデフォルメ寄りのものを採用しています。あまりリアルにすると彼女がトラップで死亡したとき、本当に立ち直れなくなってしまうプレイヤーも出てきてしまうと思ったんです。ただ、アニメ寄りにしすぎても絵空事になってしまうので、全体のバランスにはすごく気を使いましたね。

――ストーリーに関してはいかがでしょうか? カティアの正体や閉じ込められた理由などの謎は解けるのでしょうか?

高橋:本作はマルチエンディングになっており、さまざまな考察ができます。明確に言葉で説明するようなシーンはないのでモヤッとする人もいれば、その映像に感動する人もいるのではないかと思います。ユーザーさんによってかなり評価は異なるのではないでしょうか。

――本作には多彩な死の罠がありますが、それはどのように考えられたのでしょうか?

高橋:チーム内でアイディアを出し合いました。パズルを考えてから死に方を考えたものもありますし、死に方を考えてからそれにあったパズルを作ったものもありますね。なかにはステファニーさんや本作のテーマ曲を担当している菊田裕樹さんとの雑談のなかで生まれたアイディアもありますね。

――謎解きに失敗するとカティアだけでなく自分にもトラップが襲いかかってくるので、かなりドキドキします。このコンセプトは最初から決まっていたのでしょうか?

高橋:最初は少女と謎解きをするということしか考えていなかったのですが、デモでプレイしてもらうとき制限時間が経ったから終わりにしたのでは、味気ないのかなと思ったんです。パズルを解いていないのに部屋を出たから少女も自分も死んでしまうという演出を取り入れれば、それはプレイヤー自身の責任として重みになりますし、印象が残るかなと思いました。

――最後に発売を楽しみにしているユーザーにひとことお願いします。

高橋:VRのゲームが好きな人や気になっている人にすごくオススメの作品に仕上がりました。女の子とパズルを解いていく内容ですが、このゲーム独自の体験が可能になっていますので、ぜひプレイしてみてください。

――本日はありがとうございました。

Last Labyrinth

あまたPS4ダウンロード

  • 発売日:2019年11月13日
  • 価格:3,980円(税抜)
  • 17歳以上対象
  • PS VR専用タイトル
Last Labyrinth

Last Labyrinth

あまたPCダウンロード

  • 発売日:2019年11月13日
  • 価格:Steam:3,980円(税抜)、Oculus Store:3,990円(税込)、Microsoft Store:4,350円(税込)
  • 17歳以上対象
  • Steamほか(VR専用)
Last Labyrinth
(C) AMATA K.K. / LL Project

※メーカー発表情報を元に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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